三九〇〇年 四月二十七日
どうして。どうして彼らは笑っていられるのだ。どうして自分とは違って、行き場もなく、寄る辺もなく、自分から何もかもを奪った奴を憎み続けていないのだ。
憎い。どうすればいいのか分からない。いま役に立たなければ、私は父のために何もできないというのに。機会を与える子に選ばれただけ、幸せだと思わなくてはいけないのに。もはや、自分から何も奪わないものなど存在しないように思える。
駄目だ。父を信じなくて、他に何を信じられるというのだ。
彼らなのだろうか。だとしたら、この行いこそが正しい道となるのだが……。