三九〇〇年 四月二十五日
父からの手紙を読み返す。季節ごとに一通ずつ。実の子に宛てた唯一の連絡としては、少なすぎるように感じてしまう。
手紙には、どこにいるとか元気かどうかとかの、いちばん書くべきことは書かれていない。主な内容は最近の考え事、それに加えて、いつも一緒だという私ではない子供のこともよく書いていた。最後には必ず、この手紙を出したら場所を移るから返事はいらないという旨の言葉があって、サインのように、記号のように、愛している、と。
どうして返事をさせてくれないのだろう。私も、同じ思いを返したいのに。
今回もうまくいかなかった。人手が足りない。けれど、何もかも思い通りにさせはしない。