=風の精霊ウィンディ=

幕間

三九〇〇年 四月二十四日

 もう三人になってしまった。阻止しようとしなかったわけではない。だが遅かった。監視のために取った策が裏目に出ている。こんなことになるなら、最初から殺しておけばよかったのだろうか。しかし、それでは彼らと交渉して計画を立てた意味がない。
 とにかく、何か打つ手を考えなければ。私はここを長時間離れることができない。だが彼らを見張らなくてはならない。……分かっていたことだが、これは私の手に余る。
 両親から受け継いだものは私にはないということか。この目も髪も、父には似ていない。彼の愛した母からも、私は……せめて花だけは、彼が愛した花だけは、同じように傍らに置きたいと願ってもいいだろうか。
 もう夜が明ける。今日は長くここを離れてしまった。明日はどこにも行けないだろう。

2012/6/15 (修正 2023/3/9)