2周目ネタ アクア視点3人称 ルビィが死んだ瞬間から、ルビィと出会った瞬間へループ
2周目ネタ アクア視点3人称 ルビィが死んだ瞬間から、ルビィと出会った瞬間へループ
瞬きを、一回、二回、そして三回。瞼に焼き付くような、強烈な赤い光が消え去って、世界が晴れる。
「…………」
え? と言おうとして、声が出なかった。吹き付ける風が、押し寄せる力が、この手を擦り抜けていった体が――さっきまで目の前にあったすべてが、消えてなくなっている。
そして代わりに見えたものは
「ええと、大丈夫?」
そう言って首を傾げる少女。名前は知っている。顔も知っている。これまでの経験も、これからの人生も、そしてその終わりまで、全部知っている。心底焦がれて、思いが通じて、それでも決定的に分かり合えなかった。どこまでも精霊だった、それでもアクアにとってはただの女の子でもあったその人。ルビィ・ウィンディ。
アクアは動けない。何も言えない。ただ、もう一度瞼を下ろして、上げる。
ルビィは何度も見たことのある困ったような笑みを浮かべて
「ねえ、大丈夫? 返事してくれないと心配なんだけど」
「っ」
視界が涙で滲んだ。見えなくなって、夢みたいに消えたらどうしようと思うと怖くなって、アクアは腕を伸ばしてルビィを抱きしめた。
「わあっ! ちょ、どうしたの!?」
混乱した声が耳に入ってくるが、その意味までは頭に届かない。ただルビィがいて、ルビィの声が聞こえていて、自分の手がルビィに触れていて、そうしてルビィがどこへも逃げていかない事だけがすべてだった。腕の中でルビィが苦しそうにじたばたしていることにも気付けない。
「ルビィ……!」
「……え? なんで名前知って……ってもう無理! 苦しい苦しい放してーっ!」
両腕を真上に上げて、ルビィはずるっと下へ体を引き抜く。距離を取ってはあ、と息をついたルビィの手を、アクアは咄嗟に捕まえていた。
「なっ、何?」
不審がる視線と目が合って、やっと僅かに冷静さを取り戻す。
硬い表情でいつでも逃げられる姿勢を取るルビィは、もう何年も前に卒業した枝葉川学園の制服を着ていた。
友達に振られて書いた。えげつないネタだあ