競戦会編でやりたいこと ユール中心、おそらく神視点3人称
競戦会編でやりたいこと ユール中心、おそらく神視点3人称
ばちばちばちばちっ! とすさまじい音が空気を裂いた。振り切れない痛覚を引きずったまま、ユールは廊下を直線に駆ける。
目指すは一点、男の掲げるナイフの切っ先。
ユールはそこへ、背後でじわじわと効果を失っていく禁止陣に目もくれず一跳び、右肩から突っ込んだ。
ざっ、と当然ながら刃が肩口を深く切り裂き、膨大な熱と痛みが弾ける。
「っ、う」
反応はそれだけ。一瞬で暗くなる視界に無理に光を取り込んで、止まることなく男へ体当たりをぶつける。予想外の動きに男はあっさりとナイフごと左半身をそらした。
ユールはいったん後ろへ飛びのき、負傷した右腕からは力を抜いて再び男の至近へ迫る。迎える男はナイフを高々と構え、明らかにユールの右腕を狙っていた。
「くっそおおおおおおぉ!」
「――っ」
男の雄たけびがユールの呼吸音を掻き消す。
次の瞬間――なにかが刃に断ち切られ、宙を舞った。続いて金属同士のぶつかる衝撃が空気を揺らし、男のナイフがはじけ飛ぶ。
同時に、ばちん、という音がしてユールが五感を手放す。
「……お前っ!」
男が目を見開く前で、肘の辺りから切られた精霊服の袖が床に落ちた。ナイフは男の背後かなたに転がっている。
ユールは肩に精霊服を羽織り、両手に握った剣を男の首筋にしっかりと添えていた。右肩の痛みも、今では何の制限にもならない。青い双眸は男も剣も見ていなかった。
その目に映っていたのは、完全に無力化された禁止陣だった。
発掘したものなんで何考えて書いたかは推測ですが、たぶんユールが五感を切るシーンを書きたかったんでしょう
設定はしたものの、ほとんど実用したことないからね